私は、相談支援専門員です。その役割は、「本人が本人の人生の主人公(あるじ)になること」を応援することだと考えています。

前回までの[その1.その2]では訪問〜面接について詳しくお話しをしてきました。今回は、計画相談支援サービスの利用のながれについて、わかりやすくお伝えします。文末コーナー☕️「ing+」では、計画相談支援体制の現状について知り得る限りのお話しをしています。

【先にひとつだけ】

計画相談支援サービスは、障害者総合支援法に定められた、障害福祉サービスのひとつです。障害福祉サービスを利用される方が、計画相談支援サービスを利用できると定められています。具体的にいうと、移動支援や、地域活動支援センターの利用だけでは、計画相談支援サービスは、利用できない制度になっています。文字やサービス名ではわかりにくいですね。

各市町村には、パンフレットなどあります。どういったサービスがあるのかは自治体ホームページにも掲載されています。児童や成人、介護保険との兼ね合いなどもあり複雑な仕組みですが、行政窓口や地域の計画相談支援センターから丁寧な情報提供を受けられます。お問い合わせ下さい。

(自治体名をクリックすると障害福祉サービスページにリンクしています)

🔹宝塚市🔹西宮市

🔹伊丹市

(計画相談事業所一覧がありわかりやすいです)

🔹神戸市

(サービス全般を紹介したパンフレットがPDFでダウンロードできます)


🔶計画相談サービスの利用手続き

1️⃣まずは申請。行政窓口へ!(郵送でもできる)

はじめに、計画相談支援サービスの利用には、利用申請が必要です。申請窓口は、各市町村にあります。「計画相談を利用したい」とご相談ください。

担当者からは、◯◯事業所が良いですよ、や◯◯事業所が空いています、という案内はありません。斡旋になることを避けるためです。お住まいの地域の事業所一覧などを配布されますので、ご自身で問い合わせて探すところからはじまります。

しかし、一覧を手渡されても事業所に空きがなかなか無く、待機となるケースがあります。そうなると必要なサービスが受けられないという事態になりますので、代わりになる「セルフプラン」を自分で作成し、行政に提出することで支給決定を受け、サービス利用を行うという流れをとるのです。ひとりで計画をつくるとなるとなかなか大変さがあります。ですので、作成の補助を行政窓口の担当者・地域の基幹相談支援センターの方が行うことが多く、中には利用しようとする事業所職員が手伝ってくださることもあります。

2️⃣事業所が決まったら

①いよいよ顔合わせ

相談支援事業所から専門員が訪問し、相談支援サービスの具体的な内容・専門員の役割・訪問する目的と頻度・作成する計画が持つ効果や内容についての説明をします。また、専門員が所属している法人の紹介なども行います。

本人がその説明に納得され、「よし利用してみよう。」と同意を得てから重要事項説明書の説明➡︎契約➡︎個人情報同意書確認という流れで利用契約を締結します。

「ing」その2でお話した、【初回面接(インテーク面接)】が顔合わせになりますので、専門員がどういった点に留意、配慮して初回面接に臨んでいるかを詳しくご説明しています。ぜひご覧下さい。(その2へはこちらをクリック)

🔴下図(計画ができるまで)では計画作成までの流れと、個別支援計画との関係をしめしています。顔合わせは、下図中、左上の①初回面接の部分です。以下②③④とご説明していきます。

② 計画案の作成

〜本人の願いや思いを聴く〜

⑴本人の願いや思いを丁寧に確認しながら、作成する。

初めて計画相談を利用しようとする方の中には、生活のしづらさがあって相談しに来たものの、「どんな サービスを利用したらよいかがわからない」「サービスを利用することが本当に生活のしづらさの解消に向かうのか分からない」「上手く自分の困りごとを周囲の人に伝えるのが苦手」というような方もいます。 また、中には今までの支援者との関わりで支援を受けること自体に不信感を抱いている方もいるかもしれません。

そういった方に対して、たった1 回の面接で「サービス等利用計画案」を作成して終わりとい うことは現実的ではありません。何回も面接し計画案を作り本人に見ていただいて文言を修正し、この先の生活イメージを語り合いながらバージョンアップし ていきます。赤字だらけになることもあります。そのようなプロセスを通じて、本人が「私の気持ちが反映されるんだ」という実感を持つ体験を積み上げていくことそのものに価値が有るのです。

⑵早急に計画を作成してサービス導入が必要。緊急性が高い場合。

一方で、生活上困難な状況に直面し直ぐに必要なサービスを導入しないと不利益が生じる状況の方もいます。ご本人に必要なサービスが提供できないという事態となるとかえって権利侵害になりかねませんので早急に手続きを進めます。このように緊急的にプロセスを省いた場合は、モニタリング等を通じて、他にもご本人に潜在的なニーズは無いか、緊急で導入したサービスでご本人のニーズは満たされているのかといったことを確認しながら、ご本人と一緒に改めて計画のバージョンアップをしていくのです。

(参考:国様式のサービス等利用計画案)

③サービス担当者会議の設定と開催

〜その重要性について〜

本人と共に作成した計画案をもとにして、サービス担当者会議を開催します。参加者は、本人・事業所職員・医療関係者・行政担当者など・相談支援専門員です。必要に応じて、成年後見人や社会福祉協議会、学校関係者、民生委員、家族などが参加します。

サービス担当者会議において相談支援専門員は、本人が参加し、自らが主人公となっていることを実感できるような場として機能するように事前準備を含めて会議の構造化をはかっていく必要があります。 「ing」その2 でお話した面接の効果、10不思議の輪を複数人の会議に拡大していくというイメージです。

特に、計画相談利用がはじまって初めて開催するサービス担当者会議は、本人にとってはチームで顔を合わせる初めての場となることがほとんどですので「私(本人)の生活を応援してくれるチームがある心強さ」「私(本人)の力を実感し、支援者と共有できる晴れやかさ」を感じられるような場作りを大切にしています。

④ 計画案を行政に提出します      〜いよいよ支給決定です〜

サービス担当者会議で、本人を中心とした合意形成がなされ、本人が計画案にサインをしたものを行政に提出します。

行政は、内容確認し支給決定を行い、「障害福祉サービス受給者証」を発行し本人に届けます。そしていよいよサービス利用がスタートです。

🔴サービス利用の種類や、量については、各自治体がガイドラインを設けています。あくまで目安としての設定であり、個別に勘案した支給決定が行われます。本人と専門員が作成する計画案において、サービス利用の根拠が明らかになっていることが大切です。

🔴「変更や修正の無い計画案や計画は、死んだ計画である。」とよく言われます。少々過激な表現ではありますが、生きている私たちは生身の生活者=現在進行形です。”その営みには変化があって当たり前’’という意味で相談支援専門員への戒めのことばだと私は思っています。


☕️「ing+」【計画相談支援の現状】

それでは、恒例のing+です。

計画相談支援体制についてのお話です。各市町村によって、計画相談事業所の数はまちまちというのが現状で、ひとりの専門員が担当するケース数も40ケースから200ケースと開きがあります。5倍の差があるのです。これは、計画相談の質にばらつきが相当あることを意味しています。200ケース担当となれば、定められた支援さえ行えない現場もあります。単純に3か月毎モニタリングとして計算すると月に50件の訪問が必要となります。私は、質を保つには、概ね月に20件の訪問が上限数だと経験上感じています。なぜなら、他に連絡調整や書類作成、会議準備、電話相談対応などかあるからです。

国の方針では、「すべてのサービス利用者に相談支援を行き届かせること」が決定されていますが、実情はまだ専門員が不足しているのです。  単体事業実施では、職員報酬が確保しづらい制度設計となっています。実際に、ひとり専門員事業所では、孤独で業務過多に陥り、継続が困難で事業所を閉めざるを得ない事例が頻発しています。専門員が必要なのに数の上で不足している。事業を継続しようとしてもできない。という二重のジレンマに陥っているのです。このように、本来取り組むべき相談支援の在り方の議論や質の向上の議論には程遠いのが現状だと思います。

※対策として例えば横浜市のように、新規事業所立ち上げ時に市から補助金を支給する仕組みを作って対応している自治体もあります。

🔴相談支援サービス利用は、本人の権利であるため、必要な人に届ける責任があります。しかし、現状では「ある方は計画相談支援による本人中心支援が受けられ、ある方は相談支援専門員が不足していて受けられない」というサービス利用の不平等が生じているのです。本来、サービスは、誰のため、何のためにあるものであるのかの認識・取り組みを広めるためにも私たち相談支援専門員には、相談支援サービスの必要性の根拠を示し、効果の検証を行い、行政ともタッグを組み、サービス充足を実現していく責務があるのです。 そうでなければ、形骸化したシステムと成り果ててしまう危機感を抱いています。本人や、家族、地域事業所の方からは計画相談をというニーズがあるにもかかわらず、こういった事態であることはなんとか改善していきたいという思いで、地区自立支援協議会や、市への要望、請願というアプローチも実行・検討し、今後も、孤軍奮闘ならぬ狸軍奮闘をしていきます。(キツネは群れず、1人ですが幸い私には仲間がいるので群れを作るタヌキとしました。)

~ちょっとぷらす~

専門員の仕事の説明をしても、なかなかイメージが付きづらいことがほとんど。そこで便利なのは、【介護保険のケアマネさんのイメージです】とお伝えすると、皆さん「あぁ!そうなんだ。」となります。ケアマネさん、実はこんなところでもお世話になっています。(^^)

「ing」その3、最後までお読みいただきありがとうございました。今回は制度のお話でしたので堅めの内容で、ボリュームもありました。障害福祉サービスは全般に複雑です。なぜなら、障害状態にではなく、当事者、本人の暮らしに焦点を合わせ、本人らしい暮らしを実現していこうという願いをもとに作り上げて来られたものだからです。