私は、相談支援専門員です。その役割は、「本人が本人の人生の主人公(あるじ)になること」を応援することだと考えています。

みなさん、こんにちは。前回は、相談支援専門員が本人の住まいに訪問するということについてお話をしました。

今回は、訪問した際に行う「面接」についてのお話です。まず、頻度や形態についての説明を制度と照らし合わせながら進めます。次いで、”面接によって本人が得られるもの、専門員が得られるもの”つまり、面接の効果へと深めていきます。

相談支援専門員が行う面接には、日時を決め、定期的に行うモニタリング訪問面接というものと、本人からの要請や緊急時などに随時行う面接があります。 前者は、国から定められた期間がありますので、それに沿って行います。本人が利用しているサービスによって期間は異なりますが、概ね、3カ月から半年の間隔と定められています。※本人の希望や生活ニーズによっては毎月実施することもあります。本人と専門員が相談し、必要に応じて行う柔軟な運用がなされています。

🔹補足:計画作成は、誕生日月の更新・利用サービスの種類や量の変更の際に行います。計画作成の際には、必ず会議を持ち、本人と本人に関わる関係者が集まり計画についての話し合い、本人の希望の共有、役割を明確にします。モニタリング訪問面接は、計画に基づいて実施します。

🔶面接では、何が行われている!?

それでは、訪問した際など本人の協力なくしては実現し得ない 面接 についてご紹介していきます。面接には、大別して初回面接と通常面接があります。

🔵初回面接【インテーク面接】

「初めまして」のご挨拶から始まる面接です。このインテーク面接では、相談支援専門員とは何をする人で、どんな風に役立てられるかということと、私がどんな人間であるかという自己紹介をします。

普通、初対面で根掘り葉堀り、、、と相手のプライバシーを聞き取るなんてことはありませんよね。それよりは、よい雰囲気作りを重視しますし、話しても大丈夫な人なんだなと感じてもらえることを大事にしています。これらは、誰にでも当てはまることですが、特に意思が読み取りにくい状態の本人支援の場合には、キーパーソンが安心できることにも注力します。

※意思が読み取りにくい状態とは、精神症状が活発である状態、環境の変化により混乱を生じている状態、心身の状態により発信が微細である状態、のことです。障害種別(知的、精神、身体、難病)の特性での状態とは異なります。

🔵通常面接

インテーク面接を経て、通常面接がはじまります。

面接時間は、概ね60分程度で終わるように心がけています。それは、話をすることは意外と体力を使うことだからです。また、事前情報として本人から話し合いたい項目について聞き取りをし、情報収集をして訪問を行う場合もあります。

サービス利用が前提にはあり、利用者と専門員という一応の肩書きがあるのでしょうが、私はできるだけ、お互いの肩書きが外れるよう意識しています。相談したいことはなんですか?という始め方はしません。(その理由は、文末☕️部分にてお話しています)

面接は、基本的には自宅で行われますが、入院されている方や入所されている方であれば、面談室ないし外出支援という形で行われることもあります。

専門員は、この面接の機会が本人と触れ合える時間の大半となります。つまり、その1でもお話したように、訪問し、ただ話す・ただ会う、ということでは意味がないのです。

面接の時間は、本人が本人の選択に納得し、本人が人生の主人公になることを実現するための場のひとつでなければ意味がないのです。そして、実は、本人・専門員の双方に良い効果があり、得られるものが豊かにあるが面接なのです。

それでは、詳細をお話していきます。


🔶面接の効果

〜得られるもの10不思議〜

【本人が得られるもの】

①振り返りの機会
②内なる希望や感情の発見
③第三者に伝える経験(表出)
④客観的な視点
⑤混乱の解消、思考の整理、困りごとの明確化
⑦今後の具体的な行動
⑧ものごとの捉え方の変化(リフレーミング)
⑨自尊感情の高まり(エンパワメント)

⑩もともと持っている能力への気づき(ストレングス)

【専門員が得られるもの】

さて、ここからです。面接で本人が得られるものとして10項目を先に挙げました。実は、その項目と同じ効果をそのまま専門員が得ることができるのです。まさに10不思議です。

それは、どういうことなのでしょうか。

私は、面接は本人と専門員の相互作用を生み出し、互いに影響を与え合える場であると感じています。それは、人と人が、自分や自分の大切な人やことがらについてひたむきに語り合える、そんな貴重な時間だからです。時には想像もしなかった感情に出会うこともありますし、認めがたい自分に遭遇することもあります。ですので、快・不快の様々な感情が生まれます。そういった揺れや、戸惑いも含めその時間を共にし、重ねていくのです。そして、その輪を広げていくのです。

また、面接では、視覚障害の方や聴覚障害の方、発語が困難な身体障害の方、知的障害の方、精神疾患のある方、それぞれの特性に応じたコミュニケーションの取り方に配慮をしています。この部分くらいからやっと専門性のようなものが出てきます。
さらに環境設定という言葉があります。面接場所、道具、時間帯、姿勢や座り位置、口調、声色など本人に適した環境を整えることをとても大切にしています。専門員が慣れない内は、本人にもご不便をおかけすることもありますが、重ねる中で見極めていく過程そのものが、信頼関係を築いていく歩みなのです。

このように面接では、本人や本人を取り巻く環境のさまざまな情報を集め、整理し、ニーズを引き出していくという側面があります。本人の感情や行為に働きかけながら、意思決定の支援を進めるために土台を整えていくというイメージです。これを専門的な用語で言うとアセスメントといいます。

🔵面接で得られたことは、支援チーム(支援者や家族、学校、主治医など)と共有したい、もしくは、共有した方がより良いと判断するものがあります。専門員は、できる限り本人が伝えられるような場設定を行います。そもそも共有したいかどうか、するならば誰と共有したいかも本人に決定してもらいます。(理由をお尋ねすると新たな発見になります)

面接の内容は、記録に起こして保管しています。モニタリング訪問は、記録し本人にサインを頂いたのちに行政に提出します。私は、面接記録は本人の人生の軌跡という認識を持っていますので、本人の言葉は言い回しもそのままに大切に記しています。もちろん、その場に同席していた方の言葉もです。

こういった面接を継続し、半年、1年、3年と時を経ていく中で、折にふれ本人や関わりのある方と一緒に読み返してみたりすることで、変わったところ、変わらないところ、あぁあの時はこうだったなどまた新たな発見があります。

ですので、訪問、面接は一回一回がすべて貴重なものだと思うのです。中には厳しい場面もあります。いのちの選択に立ち会ったり、別れの場面に出会うこともあります。荒々しい場面も、反対に穏やかな場面もあります。どうすれば聴けるか、何をどう聴くことがよいのか、、と逡巡することもあります。

それでも、生きていく本人と私の時間を併せられることは、もう運命としか思えないのだから!と前向きに且つ真剣に悩むようにしています。ひとの営みは、現在進行形です。決して決めつけず、諦めず、失敗も本人の権利としながら未来に矢印が向いていくような関わりを大切にしています。

🔹さて、前述の☕️タイムです。今回から別枠的に設けてみます。というのも、相談支援専門員の平均であるとは言い切れない支援観や私的な価値観にまつわる内容を扱うためです。このコラムのタイトルが【ing】なので、【ing+(イングプラス)】とします。

☕️ing+【意図的に肩書きを外す理由】

本人を障害のある「支援が必要な人」「困っている人」と見ないためです。目の前に在る本人まるままに積極的な関心を寄せたいからです。

逆に、支援が必要で困っている人とみてしまえば、助けなければ、何とかしなければと感情が走り冷静さを欠くことになります。これは人の自然な感情の流れではありますが、そうなると、全体の問題や課題に視点が集中するという現象が生じます。そうなると生活を管理し、サービスで固めるという方向に傾きがちになります。いうなれば問題解決・課題解決型のチームとなってしまうのです。それでは、支援が無ければ生きられない人という価値観を生み出すことになるのではないかと考えています。

さらに、本人は支援が必要な立場なんだという自己像を持ってしまうのではと思うのです。それは、みんなの言うようにした方がよい、お世話になっているんだから、、と。本来、福祉サービスやサービス等利用計画そのものは本人の人生のためにあるもので、本人が周囲に応えるためのものではないはずです。

私がお話しているのは、支援やサービスを活用することが悪いということではないのです。支援やサービスがあれば本人がさまざな経験を積むことができ、その中からやがてこの道を歩みたいという意思が生まれて、選択することができる。という価値観が大切なのだということです。

もっと言えば、どう生きたいか

について感じている・考えていく・何とかしていこうとする本人を支えるのが支援の本質だと思っています。これは、障害種別や重度か軽度かの程度に関わりありません。なぜなら、感じず、考えず、何ともしない人は、居ないからです。その本質に到達するためにも本人を困っている人、支援が無ければならない人、とみることはしません。

〜呼びかたよもやま話〜

支援学校に通っていた方は、そのままの感覚で事業所職員や専門員などの「支援側」の人を「先生」と呼ぶ方が結構おられます。つまり、関わる人が先生ばかり、、という環境になっている事態に遭遇することがままあります。大好きな先生は、そのままで良い!だけど、、私は免許もないから先生ではないし。名前が分からなくても先生と言ってたら無難ですし、呼び方なので、こだわる必要はないのかも知れませんが、私は名字で読んでくださいとお伝えします。にも関わらず「おばちゃん」と呼ばれたこともあります。由来を聞くと、お姉ちゃんではないから、とか。というようにニックネームをつけるのが得意な方もいらっしゃいます。

「ing」その2、面接では実際何をしてるの??は以上です。最後までお読みいただきありがとうございます。