ある講演会で「あなたの対応が悪かったから、子どものひきこもりが長期化しているのです。」という先生の回答に傷ついた方がいらっしゃったと過去より未来・「これまで」より「これから」を」という記事で書きました。

「そのときのやりとりを具体的に教えてほしい」というお声がありましたので今回はまずそれを書きます。

あの日の講座の最後に質疑応答のコーナーがあり、わたしは2つの質問をさせていただきました。

【質問①】「ただひたすら待つことが大切なのはよくわかりました。しかしいつまで待てばいいのでしょうか?待ち続けて5年10年あっという間に過ぎたケースもあります。」

【質問①への先生のご回答】「長期化するのは親の声かけのタイミング、要求の出し方、支援がまずかったからそうなるのです。支援が適切ならばそこまで長期化しません。」

質問②「二つ目の質問です。精神疾患の見極めについて質問させてください。精神科の先生から「本人を連れてきなさい」と言われるケースがあるようにお聞きしますが、実際にひきこもる本人を外に連れ出すことは容易ではありません。本人が受診できないケースについてはどうでしょうか。」

【質問②への先生のご回答】
「精神科で受診してお医者さんと連携しながらやっていくのがいいですね。」

本人が受診できないことへのお答えはなかったです。残念。

 

 

先生の名誉のためにこの講座で学んだことも合わせて記しておきます。たくさんの不登校生やひきこもりの方を学校復帰・社会復帰させてこられた先生のご経験は貴重です。

先生の色々なアドバイスを要約すると「子どもの心の声の傾聴なくして不登校支援への成功はない」ということです。

・聴くことは最大の支援
・聴くことが支援の第一歩
・色々な背景があって引きこもっている。こういう人たちをどうやってエネルギーが湧くようにするのかがサポートのポイント
・ありのままを受け止めて、意見を言わない
・ただひたすらに聴くと子どものこころは軽くなっていく。語れば語るほど子どものこころは軽くなる
・気持ちを吐き出して「そうか」「そうだったのか」と聞いてもらえることで癒しにつながる
・聴くことを大切にした支援
・こころが癒されると元気が生まれる
・昼夜逆転が改善されてくることは非常に大きな変化で大きな脱出のポイントでもある
・ゆっくりとしたペースでゆったりと過ごして子どものペースに合わせて過ごしていくことが大切

不登校支援やひきこもり支援はすぐに結果が現れるものは少なく、年単位での支援が必要になるケースもあります。

そうなると結果が見えない焦りから、家族の雰囲気が悪くなったり、無意識に本人に外出へのプレッシャーを与えているケースもあると聞きます。

「親が変われば子どもも変わる」はある意味正解だとは思います。

が、孤軍奮闘する保護者を支えるシステムや、親自身がいつでも疲れたこころを充電できるような場所が、残念ながら地域の中にないのも事実です。

そういう場所が必要だという思いから、宝塚発達心理ラボでは「学ぼう★大人のひきこもり」という集まりを不定期ですが開いています。当事者・支援者・保護者どなたでも参加していただき、不登校やひきこもりについて、学び語り合い、気持ちをわかちあいます。カウンセラー経験豊富なスタッフがファシリテーターとして入りますので精神的なフォローも安心です。

*ファシリテーターとは「良い話し合いへと導く進行役」のことです。

 

学校に行っている間は、担任はもちろん保健室やスクールカウンセラー、市によれば適応指導教室などがあり、制度としては手厚いものがあります。しかし一旦学校を卒業してしまうと、あとのフォローは全て家庭にまかされてしまうという現実もあります。

不登校・ひきこもり支援をしている機関について、その情報を探し出すこと自体、渦中の真っただ中にいる人には一苦労です。

8050問題は目の前に存在します。ですからもしご自分のニーズに合う支援がなければ、一緒に創りだしましょう。不登校支援やひきこもり支援は長期戦になることが多いですから、お一人で抱え込まずに二人三脚で一緒に進んでいきませんか。